言い逃げしようとしては誰かに叱られる日記inはてなブログ

旧はてなダイアリーからのインポートです。こちらの更新はあまりないとは思います。

経済水炊き

日曜日、都心に出ようと思ったがその前に図書館によってリサイクル図書を物色する。
何か面白いものがないかと物色したら 主婦の友社から出ていた「新しい味覚の日本料理300種」というものがあった。


昭和32年8月5日が初版で、手に入れた本は昭和38年11月5日の54版。
おー、俺の誕生日と1日違い(意味がない)。
ていうか、東京オリンピックより前の本ですわ。


各料理の食材や調味料が全部5人前というのに、まず時代を感じる。
この時代は核家族化があまり進んでいなかったのだろう、きっと。
子供は複数、祖父母も同居というのが当たり前の時代。
一人前の値段も載っているのが、なんとなく主婦の友っぽい。
松茸の土瓶蒸しは1人前50円換算……
他の料理に比べれば、高いといえば高いのだが、それでも今の目から見ると安い。
ちなみに、おなますは1人前10円。

この中で、とりわけツボに入ったのは「経済水炊き」という鍋物
経済水炊き?

高野三郎という作家の妻である、高野千代が執筆者になっている。
*1
基本コンセプトは、鶏肉を節約して、その分野菜をたくさん食べようというもの。
材料は例によって5人前。
骨付き鶏肉400ギラム、スープ用の鶏ガラ1羽分、馬鈴薯10個、玉ねぎ10個、ポンズ用橙1個。


まずは鶏ガラで濃いめのスープを取り、そこに馬鈴薯と玉ねぎを丸のまま煮込む。
まあ、皮は当然剥いているのだろうが。
野菜が煮えたら、鶏肉を入れて調味料は入れずにコトコトと煮る。
鶏皮が柔らかく煮えて、膠質(今でいうコラーゲン)によって汁にとろみがついたら鍋を食卓に。
橙の絞り汁と醤油を半々に合わせたポンズでいただく。
一通り食べたら、うどんや餅を入れて煮てもいいとのこと。思わずおかわりしたくなるらしい。


……ニンジンとカレー粉を入れたら……カレーになりますねえ、このお鍋。
いやまあ、カレー粉はいつでも最強ですけど。闇鍋完食には必須ですし(byきゆづきさとこ)。

まあ時代が時代だからというのもあるが、経済水炊きというフレーズには久しぶりに吹いた。
まあ確かにジャガイモと玉ねぎは野菜としては安定して安いというイメージがありますし。
(ジャガイモ不作でポテチがピンチというのもよく聞きましたけど)


これは一度、試してみたい。そんな気がする。
鶏ガラからのスープはめんどくさいのでスープの素でごまかしてしまいそうだが。


追記
調べてみたら、高野家は高野三郎氏が保証人になっていた会社の倒産によって貧乏になったらしい。
こういう料理が生まれるのも、ある意味自然なことなのかもしれない。

*1:高野三郎は調べてみたら、高橋三千綱の父親らしい。