ああ、これはあいつのことだ、そして僕のことだ
唐沢なをきの『まんが極道』を読む。
唐沢俊一氏は、この漫画のことを
朝目が覚めたらまだ5時半。寝られないってことか。仕方なく眠くなるまで読書。唐沢なをき『まんが極道』。……ああ恐ろしいおそろしい。前作『漫画家超残酷物語』が、どんなリアルな漫画家残酷物語を
描いてもちゃんとなをきギャグに昇華していたのに対し、こっちはその悲惨さをダイレクトに出して落としていなかったりして、描いているうちに本人の中の、今の業界の持つ“シャレでない”度合に対する呆れ感がスタンピードしちゃったおもむきがあって、笑うより前に少し背筋がゾッとする。唐沢なをきは全てのマンガ家の中で最もリアルにダイレクトに現実を見る目を持った、いや、“持ってしまった”人間なのだろうなあ、と思う。何にしても、マンガという表現形式そのものをメタなギャグにする唐沢なをきという作家の、これは当然行きつく道であって、まぎれもなくその代表作となるだろう、このシリーズは。
と評していた。
http://www.tobunken.com/diary/diary20070531141948.html
これを読んでゾッとせず、他人事のように「俺は漫画にうるさいよ」とか言う人は、多分信用しないだろう。
こと、漫画に関しては。
個人的には「貧富論」が一番、痛くて死にそうになった。
「マイナーな漫画」が好きではなく、「マイナーな漫画が好きな自分」が大好きで、自分からはその漫画を積極的に応援しようともしないのに、いざ自分好みではない状況になると発狂する痛いオタク。過去に何度かDISった「漫画読み」たちのリアルな姿であり、また自分の姿でもある。許してください。
その後、『まんが極道』を読んだ後、今週の週刊少年チャンピオンに載っていた梅田阿比『フルセット!』を読んだ。どういう訳か、主人公の入谷がネットでだけあれこれ言っているチャンピオン読者に説教しているような気分になった。
こんな話だった。
虫好きの深山が
「できもしない事を無理してやるより…残された時間を楽しむ事にするって」
「俺達はココの生活が気に入ってたんだよ!」
と言うと、入谷は
「そんなにココが好きなら、何で自分達で守ろうとしないんだよ!?」
と言い返していたのだ。
漫画ではバレー部のことを言っていたが、バレーがマイナー漫画に入れ替わっても違和感ない。
もしかして、打ち切りと戦っている漫画家の心境や想いも、このセリフのやりとりに込められているかもしれない。
嗚呼、これがオタクの自意識過剰というものか。
オチはないと思います。
- 作者: 唐沢なをき
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- 発売日: 2007/05/25
- メディア: コミック
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