言い逃げしようとしては誰かに叱られる日記inはてなブログ

旧はてなダイアリーからのインポートです。こちらの更新はあまりないとは思います。

完敗、そして乾杯!

最近、WEBスナイパーのシルバーウィーク特集とかで
やたらと4コマ漫画関連のエントリーがあがっていた。

永山薫
http://sniper.jp/300special_issue/3005four_frame_cartoon/post_1624.php
新聞4コマからいしい・植田の時代を経て4コマ専門誌やサブカル向け、萌えへとざっくり語っているが
(新聞4コマを語る人はネットの4コマレビュアーではあまりいないので、この切り口はいいとは思う)
自分の経験だよりなので一部に事実誤認があるし
いしいひさいち植田まさしのあとに台頭してきたように受け取れる書き方はどうだろう。逆だろ、JK)
あと、どうしてもサブカル者にありがちな「濃いもの至上主義」が鼻につく。
昔、唐沢俊一が熊田ぷう助を紹介するとき、4コマ誌4コマのぬるさをDISったあとに熊田を持ち上げるというのがあったが
それに近い嫌らしさを感じるのは、自分が4コマ誌おたくだからだと思いたい。
まあ、永山薫のスタンスって、元からこんなんだというのもあるだろうが。
専門外が外野から語るって、どうしてもこのレベルだよねえというのもあるし。



泉信行
http://sniper.jp/300special_issue/3005four_frame_cartoon/post_1627.php
昔の東浩紀が自分の見た範囲内だけでおたく全般を史観的に評論していたときに感じた、虫唾の走りっぷりを久しぶりに実感。
もしくは、プロレスに大して興味もないのに語りたがるサブカルな評論家に対して虫唾が走るような気持ち。
ファミリー向け4コマ誌の一般的な読まれ方とか分かっていれば、こうはならないだろうという例としか言いようがない。
漫画の表現論に関しては、自分なんかより鋭い見方をする人なのかもしれないが
正直「あ、この人は4コマ誌をまともに読んでいないな」と感じたのは確か。

ここで正直、WEBスナイパーに失望しかけていた。*1



四コマ漫画の巨匠・植田まさしを読み解く! 来るべき植田まさし批評のために 文=ばるぼら
http://sniper.jp/300special_issue/3005four_frame_cartoon/post_1631.php
ところが、これには完敗した。
もしかしたら同人誌やブログとかに、もっと深く掘り下げたものがあるかもしれないが
植田まさし論については最強といってもいいかもしれない。読みやすさを含めて。
何が感服したって、徹底的に一次資料を掘り下げているということ(ここ重要)。
特に、デビュー作の原典を見つけてそれを紹介しているところにはかなりの衝撃を受けた。
これは、ぐぐって流し読みしてちょろちょろと書き流すレベルではない。
まさに「研究」。
さらに、植田まさしの漫画表現の変化からネタ出し論までの読み解きについてもほぼ完璧といっていいだろう。
それも、過去のインタビューを中心とした一次資料があってこそ。



ばるぼら氏本人は

植田まさし大全』の発刊時期は未定であるので、くれぐれも入手方法を問い合わせたりはしないでほしい。また植田まさしについての質問には一切答えないので、くれぐれも問い合わせないでほしい。そう、これをきっかけに新たな第一歩を踏み出すのは、あなたなのだから!(ドーン)

と書いているが、マジで「植田まさし大全」を出して欲しいというか
芳文社竹書房は、氏に「きちんと一冊の本にしましょう」とオファーすべき。かりあげ君の双葉社でもいいけど。
あーもう、なんていうか語りたがりの脳内評論家な4コマおたくとして、完全に負けたというかなんというか。
でも、負けたのが妙に嬉しいというか。
唐沢俊一がその昔、とりみきが出した吹き替え声優本のことを「自分がやりたかった仕事」とほめていたが
まさにそういう気持ち。いや、それだけの技量も一次資料の蓄積も整理も自分にはないので、やれと言われてもどうしようもないが。

とにかくもうやられた!(快感的な意味で)